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二つの宝石 「緑の地球」は任せていいの?

どうも、ホシノ・ルリです。

最新鋭戦闘艦のナデシコは、ハッキリ言って通常航行時はヒマ。

もともとワンマンオペレーションシップを目指して研究・開発しているだけあり、オペレーターさえいれば艦内(と言っても機械が出来る範囲内だけですが)の大体の事は出来てしまいます。

そのオペレーターすらヒマな通常航行時は、ブリッジはとってもヒマ。

逆に、整備班や厨房、補給(主に艦内の自販機に対する)などが忙しくなっりますけど関係ないです。

あまりにもヒマなので、艦内に設置された監視カメラで各仕事場を見てみましょう。

あ、別に覗きなんかじゃないですよ?

私、少女ですから、そんな野蛮なことはしません。

さて、先ずはデッキの方を見てみましょう。




姉さんとゴートさんが何やら言い争ってます。 ちょっとマイクを向けてみましょう。

『ですから、私はパイロットになる気はありません』

『いや、あれほどの技術がある人物をみすみす見逃すわけにはいかん』

『私はオペレーターなんです。 戦闘に出るのはこの前が最初で最後』

『それは惜しいですなぁ…。 どうにか戦闘に出てはもらえませんか?』

平行線を辿る議論に水を差したのはプロスペクターさんでした。

『嫌です。 戦いたいわけじゃないんです…』

『しかし、現状パイロットは一人だけ
 貴女とテンカワさんが参加してくれなければロクに機動兵器戦が成り立ちません』

『それは致し方ない事じゃないですか。 私は…』

『貴女の決意で決まりますなぁ、ナデシコの明日は
 答えは後日うかがわさせて頂きますよ。 それでは…』

本人がやりたくないって言ってるのに強要して…

これが大人のやり方…、なのかな。 大人ってズルイ。

今の流れで行くとテンカワさんの所にも行くのかな?

ちょっとプロスペクターさんとゴートさんを追いかけてみましょう…




追跡した結果、二人はやっぱりテンカワさん(ヤマダさんと相部屋)に行きました。

で、テンカワさんはヤマダさんと暑っ苦しいマンガを見てました。

私、熱血とか好きじゃありません。 そういうマンガも。

キャラクターも絵も音楽もシナリオも全部暑っ苦しい。

あんなのの何所がいいんだろ?

でも、とりあえずそのマンガの効果か、テンカワさんはスンナリとパイロットになる事を決めちゃいました。

勝手にしてって感じ。




(何であんなこと出来たんだろ…)

コハクはアサルトピットの中で微調整しつつも考える。

(確かに動かした事は確かにある…
 でも、デッキ内を移動させる程度だったし、その時はこんな感覚無かった…)

脳裏にちらつく戦闘時の記憶。

目の前の敵を破壊する事に執着していた自分は、敵の攻撃に対する恐怖心も無く敵中に飛び込み、何時もの事のように敵を破壊していた。

(もし、あれに人が乗っていても、容赦なく攻撃してた…
 逆にコックピットを積極的に狙ってるかも…)

思考に疲れてため息をつく。

(自分の中にもう一人の自分がいて、戦闘中だけ顔を出したみたい…)

とりあえず、パイロットの増援があるまでは乗るしかないだろうと覚悟を決め、作業を続ける。

『エステバリスはフレームとアサルトピットに分かれていて、アサルトピットを交換することによって即時に陸海空や宇宙でも運用可能
超々強化樹脂と複合ルナリウム合金を使用することにより、重量を1.85tとトラックより軽いという超軽量を実現化
更にナデシコから発される重力波ビームを受けてエネルギー供給が出来るのでナデシコと共に運用すれば活動時間はほぼ無限
セットでご購入をお奨めしますよ』

…と、ナデシコに来た時にプロスペクターからそういう風にセールスされた。

一緒にいたルリと共に『……私達、買いませんよ』と言ったのを覚えている。

(0G戦フレームが先行輸送された一機だけ…
 後で補給を受けられるって聞いたけど、何所でうけるんだろ?)

現在、ナデシコのデッキにあるエステバリス(フレーム)は15機
アサルトピットは8機(4機は予備)

陸戦フレーム×6………2機は予備機
砲戦フレーム×4………2機は予備
空戦フレーム×4………2機は予備
0G戦フレーム×1……後で5機搬入予定(2機は予備機)

基本的に4機1グループでの戦闘が想定されている。

元々少ない数で防衛しようとしていたナデシコにとって、パイロット着任前の始動は痛かった。

(故意による)偶然があり、パイロットのヤマダがいるが、一人で切り盛りはできないし、偶然いたから頼っちゃえ、というのが本音。

ただ、コハクのIFS(Image Feedback System)は大規模コンピュータ対応のモノで、実はインターフェイスが通常のIFSとは少し異なっている。

そのため、専用のアダプタを介しての運用になるために少しだけタイムロスが生まれている。

それが致命的な差にならない事を祈るのみではなく、自力で埋めるために、コハクは調整を続ける。




「今まで皆さんにナデシコの目的地を明かさなかったのには、妨害者の目をあざむく必要があったからです」

集まった主要メンバーに、プロスペクターさん言う。

私は別にお呼ばれした訳じゃないけど、ブリッジに集まって来ちゃうんですから聞こえない訳がありません。

「我がネルガル重工が、わざわざ独自に宇宙戦艦を建設した理由は、木星蜥蜴と戦う為ではありません」

「じゃあ何の為に?」と言うミナトさんの疑問に、フクベ提督が答えた。

「我々の目的地は、火星だ。」

火星。 結構前に木星蜥蜴に侵略された星。

姉さん、テンカワさん、艦長の生まれた星…。

どんな所なんだろう?

「連合宇宙軍の広報のために火星が占拠されているとお思いでしょうが、実際に事の真偽を確かめた人物は誰もいないのです
 我々はそれを確かめに行こうと言うのです」

「と言う訳で、我々は以後、軍とは別行動をとり火星に向かう」

プロスペクターさんが言った後を引き継ぐようにゴートさんが言う。

「まぁ、戦争するよりはいいかな」

「人助けかぁ…。 それって、いいことですよね」

「ま、相転移エンジンの特性を考えりゃ、地上で戦うよりマシかもな」

とりあえずみなの意見は好意的。

偽善的だけど、戦争しろって言われるより気分的に楽ではあるけど…
みんな、わかっていってるのかな? 少なくとも隣にいる姉さんはわかってると思うけど…

「皆さんの同意を得られたところで…、艦長」

「はいっ」

艦長が前を向いて進行方向を「ビ!」ってマンガなら書くくらいの勢いで指差したその時…

「そうはいかないわよ!」

キノコ頭が言いました。 あ、ムネタケ副提督の事です。

すると突然、ドアの前にいた副提督の後ろから変な人が入ってきました。

もさもさの頭をしたひょろ長いって感じの男の人。 眠そうに欠伸を噛み殺してます。

誰でしょう?

「…スパイク?」

姉さんがいきなり立ち上がりました。 知り合い…、なんですか?

「あぁ、コハクか。 でかくなったな。」

ホントに、誰? 姉さんも男の人も沈痛な面持ちで話してますけど…

「いきなり居なくなるから捨てられたと思ってるんだけど…」

「俺はビシャスを追ってた。 お前なら一人でも大丈夫だろうからな…」

「ふざけないで。 ジュリアの言葉を忘れたの?」

「忘れる訳がないだろ! …だが、お前が一人で生きれた
 俺はビシャスを…」

完全に二人の世界に入り込んじゃってます。

それにしても、姉さんの過去って…

「チョット待ちなさいよ!! あんた達、私の事を無視すんじゃないわよ!!」

「黙ってろ」

男の人が懐から銃を取り出しました。

あまりの気迫に副提督は腰を抜かして尻餅をつく。 …ホントに軍人さん?

まぁ、あそこで正々堂々と銃を突きつけ合うのは似合いそうにないけど。

でも、なんで艦内で銃なんか持ってるのか…、不思議だな。

「スパイク、それまでにしておいてください。 後で訴えられても困ります」

プロスペクターさんが男の人を嗜めました。 もしかして、知り合い?

「…へいへい。 他のヤツ等は営倉に放り込んだからな」

「確認してますよ。 ご苦労様でした。」

意味深な会話。 プロスペクターさんもこの男の人も、どうゆう人だかわからない。

他のヤツ等って…、副提督が民間人に紛れ込ませて部下をナデシコに乗せてたのかな?

そうこうしている内に、副提督が連行されて行っちゃいました。 ドナドナが流れてもいいような雰囲気。

『ユ〜リカ〜〜!!』

突然カイゼル髭のオジサンが出てきました。

この唐突さ、艦長に似てるかも。

「お父様!!」

当たってましたか…。 あの父親にしてこの娘あり、って事?

にしても、通信士もオモイカネも通さないで通信なんて、摩訶不思議。

新デバイスの開発に協力したほうが有益なんじゃない?

にしても、興奮のためか、画面は特大。 …嬉しくないな。

あ、説明してなかったかも知れないので、ここでコミュニケについて少しだけ説明。

コミュニケは、通信用の機器で、心拍数や血圧などを測定して感情を推測。

それにあわせて音量や画面サイズなどをオートで変える機能を持ってます。

ま、こういう相手には必要のない機能かも知れないけど。

『暫らく見ないうちにおおきくなったなぁ〜〜』

…親ばか?

「コホン。 提督、ご用件は?」

プロスペクターさんがナイスタイミングで話を遮りました

あのままつきあわされても困りましたから、感謝してもいいかな。

『…そうだったな。 ゴホン
 あー、私は、地球連合宇宙軍提督、ミスマルである
 機動戦艦ナデシコに告ぐ。 直ちに停船せよ。 これは命令である』

「どうしてですか、お父様?」

『ユリカ。 残念だが、連合宇宙軍には強力な戦艦をみすみす見逃せるほど余裕がないのだ』

要するに、造るのも使うのも認めてたけど、やっぱり強そうだから寄越せって事?

わがまま盛りみたいですね、連合宇宙軍って。

プロスペクターさんが交渉しようとするも失敗、提督は強固にナデシコを徴収しようとする。

艦長が突然テンカワさんの事を聞いて、忘れたと言う回答を貰った次の瞬間、通信を切っちゃいました。

しかも、何気に「好きな人が乗ってるんです」とも言って。

提督、『艦隊が丸々盗まれた』みたいな勢いで驚いてました。

それにしても、艦長の神経はカーボンナノチューブよりも強靭みたいです。

「ナデシコ、発進!」

そう、艦長が告げました。




「ムネタケ少将は役に立ちませんでしたなぁ?」

連合宇宙軍の総会での発言とは思えないほどの皮肉の混じり方。

上官がこれだと部下は可哀想。

そう思いながらも、コハクは憮然とした表情で総会の傍観(ハッキングだが)をしていた。

何故かと言うと、お調子者の艦長が提案した作戦のせいだ。

正月なのをいい事に、『かわいい女の子で防衛ラインを通してもらえるようにお願いしてみましょう!』と言うのだ。

宇宙から来る木星蜥蜴からの防御のためにひかれた防衛ライン。

第1防衛ライン〜第7防衛ラインで構成されるラインを全て自力で突破するよりは楽なのはわかる。

だが、何が悲しくて振袖なのだろうか!?

一通り議論が穏やかになった所で、ユリカが通信を入れるように言ってきた。

相手の回線に無理やり捻じ込み、通信を双方向にする。

「あけましておめでとうございます」

ユリカの言葉に合わせて、ブリッジの女子クルー、ユリカ、コハク、ミナト、メグミ、ルリが礼をする。

わざわざ畳をひいてその上に正座して、だ。

個人的には通信の向こう側の男達の視線が痛い。<br><br> ルリもそうなのだろう、いつも通りに見えて居心地が悪そうだ。

そのままユリカとお偉いさんの駆け引きがあったが、まったく項を奏さなかったようだ。

「意味なかったね、ルリ」

「そうですね、姉さん」

射抜くような視線と言葉も、ユリカには通用しないようだ。

二人ともまた一つ、この船のいいかげんさを再確認した。

ナデシコは上昇を開始する。 その間に素早く着替えておく。

第7〜第4防衛ラインまではナデシコの上昇に間に合わないような地球発進のジェット戦闘機部隊による迎撃、スクラムジェット戦闘機部隊による迎撃、宇宙船部隊による迎撃、ミサイルによる迎撃だ

だが、第3防衛ラインの有人宇宙ステーション、およびそこから発進の宇宙戦闘部隊、第2防衛ラインの各種無人武装衛星による迎撃、第1防衛ラインのバリア衛星による時空歪曲バリアが難点。

初の有人戦闘部隊との戦闘と、迫り来る迎撃ミサイル。

更にバリアを突破するにも時間がかかる。

モタモタしていると敵に連合宇宙軍の艦隊に追いつかれてしまう。

時間に余裕はないのだ。

エステバリスで出撃しようとした時、一つ閃いた。

「プロスさん。 ちょっと相談が…」





「ちょっと宜しいですかな?」

プロスはムネタケ少将を監禁している部屋へと来ていた。

「なによ? やっと解放するつもりになったの?」

「いえいえ、現在第三防衛ラインの皆さんとの戦闘が始まりそうでして…
 つきましては、停戦の呼びかけをして頂きたいのですが…」

にべもなくムネタケは突っぱねた。 確かに利がないのだからやる筈がない。

「そうですか…。 困りましたなぁ〜」

そう言ってプロスは部屋を出る。 鍵を掛けずに…


――あとがき――

あ〜、第二話にして分量が一気に減りましたなぁ…

この文の長さの激しい変動は今後も続きそうです(汗

ネタがあれば詰め込めるだけ詰め込もうって感じで、ネタ切れするとエンプティーのままで…

あ、ネタと言えば一話あとがきでも書いたカップリング希望の募集は現在進行形です

よろしくご協力の程よろしくお願いします

自分でもカップリングは決めてますが、皆さんの声一つで変わる可能性も!!?!

メールでどうぞ!

それでは、次話 どうでもいい『さよなら』 をお楽しみに〜

細部改訂 '06/02/10

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