双子の歩く道 Session 8


「・・・まったく。ナニが何だかサッパリだぜ。」

セイジは自室でそう愚痴を零す。 なにせいきなりゲンドウにこう言われたのだ。




『レイをお前達の家へ移す
 戸籍上は兄弟だ。 問題あるまい?』




だそうだ。 まぁ隣だし、ただでさえ少ない荷物だ、簡単に移せるだろう。

(だからってコッチの承諾無くは無しだろ・・・。俺は良いとして兄貴が・・・)

そう。シンジはどうにもレイとのコミュニケーションが取れないのだ。

レイは別段嫌っている訳ではないのだが、ここら辺はシンジの経験不足だろう。

二人とも多少は惹き付けられてる感じはある。

(う〜ん。一回俺が外泊でもしてこようか?・・・余計なお世話かなぁ?)

答えの出ない自問自答を繰り返す中で、ふとベットの傍らに置いてある時計を見る。

零号機の再起動実験の時間が近くなっていた。

 


 

シンジは自室で布団に仰向けになってボケッとしている。

「どうなってるんだろ?」

(父さんは何を考えてるんだろ? ・・・確かにミサトさんの料理はアレだったけど・・・。
 ま、いいか。 それにしても綾波と僕達が兄弟だったなんて・・・)

なんとなく気恥ずかしくなるシンジであった。

ふとベットの傍らに置いてある時計を見ると零号機の再起動実験の時間が近くなっていた。

 


 

レイは今さっき引っ越してきた自分の部屋のベットの角に座って考えていた。

(私と碇君達は兄弟? …なぜかしら、その事を考えると心の奥が少し暖かくなるような感じがする。)

ふとベットの傍らに置いてある時計を見ると零号機の再起動実験の時間が近くなっていた。

「そろそろ、行かないと…」




 

「これより零号機の再起動実験を行う。 第一次接続開始」

「主電源、コンタクト」

「了解」

「フォーマット、フェイズ2へ移行」

次々と起動作業が繰り返され、前回越えられなかった絶対境界線を突破し、ついに零号機は無事起動する。

連動試験を始めようとしたとき、電話を置いた冬月がゲンドウに報告する。

「碇、未確認飛行物体が接近中だ
 恐らく、第五の使徒だな」

「テスト中断。総員、第一種警戒態勢」

ゲンドウが何時も通り静かに言う。

「零号機はこのまま使わないのか?」

「まだ戦闘には耐えんよ
 実験前の状態にコアを書き換えろ。 どれ位でいける?」

「3600秒以上かかります」

「初号機は?」

「380秒で準備できます」

「先ず初号機は出撃。 状態を見て零号機を出せ」

「「はい」」

「レイ、再起動実験は成功した。 戻れ」

 


 

初号機に乗り込んだシンジは準備を終え、通信画面から聞こえてくる報告に耳を向ける。

『目標は芦ノ湖を通過』

『エヴァ初号機、発進準備。 第一ロックボルト、外せ』

『解除確認』

『了解。 第二拘束具除去』

『エヴァ初号機、発進準備よし』

『発進!!』

ミサトが号令をかけ、初号機が射出される。

最近は以前よりもこのGには慣れたがやはり好きではない。

その時、男性オペレーター――青葉シゲル――が焦った声で報告をもたらす。

が、よく聞き取れない。

通信の向こう側から焦ったような雰囲気が伝わってくる。

その瞬間に地上に出る初号機。

『シンジ君! 避けて!!』

ミサトの声と同時に目の前のビルが飴の様に溶け、その中心からレーザーのような物が襲い掛かってくる。

「!?」

瞬時の事で、悲鳴を上げることも動く事は出来なかった。

「うわあぁぁぁ!!」

激痛が胸に走ると共に周りのLCLが沸騰する。

『下げて! 早く!』

ミサトの声が聞こえたのと意識がなくなったのはほぼ同時だった。

 


 

目が覚めると視線の先には何回か見た事のある天井だった。

体を起こす。 別段痛みは無い。

「起きたの?」

弾かるように横を見ればドアからレイが入ってくるところだった。

「あ、…うん」

「食事」

シンジの反応は気にせず、押してきたワゴンに乗った食事を見せて言うレイ。

「今は、食欲ないんだ…」

少しうつむきながらもそう言う。

「食べておいた方が良いわよ。 じきに作戦が始まるから」

「作戦?」

「明日午前0時より発動されるヤシマ作戦のスケジュールを伝えます
 碇、綾波の両パイロットは本日17:30ケイジに集合
 18:00エヴァンゲリオン初号機、及び零号機、起動
 18:05出動。同30二子山仮説基地に到着

 以後は別名あるまで待機。 明日0:00作戦行動開始」

「また、アレに乗るの?」

「そうよ」

「…いやだよ。 怖い思いなんかしたくない
 綾波はアレに乗って怖い思いをした事が無いからそんなことをいえるんだ
 大体、セイジが乗れば良いじゃないか。 僕が乗る必要なんて…」

「それは難しいわ。 彼、今体調悪いんですって」

レイのその言葉に軽く驚く。

「レイ、いいよ。 俺が乗る
 もともと、体調管理が出来てない俺が悪いんだから」

レイは答えなかったがシンジの寝ているベットのすぐ脇で声が発せられる。

気付いていなかったので相当びびる。 現れたのはセイジだった。

耳で体温を測れる温度計で体温を測り、その表示を確認する。

「うん。 これくらいならいける
 行こうか?」

体温計をシンジのベットに無造作に放り投げて言う。

「それと兄貴。 制服はあそこにかかってるから<br>  …寝ぼけてそのまんまで出歩かないでな」

言われてやっと自分が裸なのを知る。 慌ててシーツを手繰り寄せる。

体温計が手元まで転がってきた。

「んじゃ。 作戦中はなるべくここにいてくれよ」

そう言って部屋を出て行く。セイジにやらせる事への罪悪感からそれを直視できないせいでうつむいた。

視線の先には“39.8℃”と表示された体温計があった。

弾かれたかのようにドアを見るが、そこはすでに閉まっている。

「これ、一応持っておいて。 私、いらないから」

まだ部屋を出ていなかったレイが袋に入ったままの新しいプラグスーツを投げて来た。

「じゃぁ、さよなら」

レイも出て行った。

(僕は40度の熱を持ったセイジにさせる気なの?
 それで本当にいいの?…)

シンジは立ち上がった。

そして、プラグスーツへと手を伸ばす。

 
苦し紛れになりそうな後書き
 

幻魔狼「はい、見ての通りセイジ君は風邪でダウンです」

セイジ「なんて都合のいい…」

幻魔狼「ご都合主義とわらわば笑え!! コレでシンジ君が一歩(おとこ)に近付いたのだから!!」

レイ「…他のサイトさんに、パイロットには特性のワクチンを打っているって設定があったわ」

セイジ「まぁ、普通は貴重品のパイロットはそういう風に扱われるだろうなぁ?」

幻魔狼「あぁ、それか? それに関しては実は伏線がある」

セイジ「なにが楽しくて本編内でわからんような伏線を張るかね、アンタは」

幻魔狼「今まで、アニメ版エヴァだと最後まで引っ張る単語なんかを最初っから惜しげもなく出してるっしょ?」

シンジ「まぁ、父さんとかセイジとかが主だけどね」

セイジ「で、代わりに謎は全てオリジナル…、て訳か?」

幻魔狼「まぁ、俺が作るものでどれだけミステリアスになるかは不明だが…」

レイ「本物以上にはならないわ」

シンジ「そうだと思う」

セイジ「同じく」

幻魔狼「俺だってそこまで出来るとは思ってないやい」

セイジ「それで? どういう類いの伏線なんだ?」

幻魔狼「ズバリ『セイジ君、死亡フラグ』」

シンジ「…それってさ、まんまじゃない?」

幻魔狼「甘い。 病気は原因じゃない。 原因による影響だ」

セイジ「病気になった原因にフラグの根本的理由があるって事か?」

幻魔狼「さぁ? それは見てからのお楽しみさね(ニヤリ」

シンジ「…不気味だなぁ」