双子の歩く道 Session 5

ミーティングルームで、ミサトを前にNERV本部が確保しているチルドレン全員が並んでいる

「三人ともいいかしら? 今回の戦闘は初号機と零号機で行うわ
 初号機にはシンジ君。 零号機にはセイジ君が乗って
 レイは怪我をしてるから今回はお休みね。 着替えなくていいわ
 …質問は?」

セイジは手を挙げてミサトに質問する。 答えは大体予想がつくが

「俺が零号機で兄貴が初号機の理由は?」

「それは簡単。 セイジ君は零号機に乗った事があるからよ」

「…大体予想できてましたけどね。 一応聞いときました」

これには反論のしようがないので引き下がる

「…他にはないわね? じゃ、配置について」

『いい。 セイジ君はあくまでバックアップよ
 シンクロ率も初号機の時ほど高くないんだから無茶はしないで頂戴ね?』

「わかってます。 でも、初号機を真正面から戦闘に持ち込ませなくても・・・」

言いながらも使徒がビルに隠れ、射撃できなくならないように移動する

使徒に気付かれないように

『相手が長距離攻撃をしてこないのはわかってるの
 正面のシンジ君が牽制して、セイジ君が後ろから陽動を掛ける
 その時にシンジ君は位置取りをして、セイジ君は射撃後に接近して更に陽動、使徒の動きが止まった時点でシンジ君がナイフで使徒のコアを一突き』

「それは聞きましたけど。 成功するようには・・・」

今更ながらの反論をしようとした時に、初号機が使徒に向けてパレットライフルを掃射…、いや乱射と言うべきか?
 爆煙で使徒を見失う

『馬鹿! 爆煙で目標が見えない!』

ミサトも同じ内容をシンジに叩きつけた

「あぁ、もう!
 零号機、使徒の背後に回りこんで陽動始めます。 タイミングの指示よろしく」

あれ位で倒せるなんて思ってもいないので、油断なく後ろ側だった方向へ回り込む

勿論まだビルの陰からは出ていない

タイミングはミサトに一任している。 組織行動はこうあるべきであろう

『うあぁ!』

『シンジ君! 予備を出すわ
 セイジ君は陽動開始。 もし出来るなら初号機が体制を立て直せるまで続けて頂戴』

「了解」

爆煙はまだ消えてはいないが薄まってはきている

先ほど見えた光の筋は多分使徒の攻撃なのだろうと見当をつけ、そこに向けてスナイパーライフルを全弾発射

決して良いといえない連射速度なので使徒のいたはずの場所の少し手前まで撃ち続けることになった

「弾切れ! 兄貴の方は?」

ライフルを投げ捨て、プログナイフを装備しならがらミサトに聞く




「うあぁ!」

爆煙の中からいきなり現れた光の鞭を下がりつつもパレットライフルで受ける

だが、いともアッサリとライフルは切り裂かれる

下がった勢いを殺しきれずにしりもちを着く形になった

『シンジ君! 予備を出すわ

 セイジ君は陽動開始。 もし出来るなら初号機が体制を立て直せるまで続けて頂戴』

ミサトの言葉で、近くにあった武器庫ビルからライフルが現れる

しかしシンジはそれを受け取る事は出来なかった

ライフルはビルごと使徒の攻撃でバラバラになってしまったからだ

しりもちを着いたままジリジリと迫ってくる使徒から離れようと足掻いていた

『弾切れ! 兄貴の方は?』

セイジの言葉が聞こえてやっと恐怖から逃れられた

(そうだ。 反撃しなきゃ・・・)

別の場所に出たライフルに手を伸ばし取ろうとした瞬間に、使徒の鞭が再度襲い掛かってくる

咄嗟に左側に向かい回転してよけようとしたが、完全に回避しきれた訳ではなかった

『初号機、アンビリカケーブル断線! 内蔵電源に切り替わりました!』

「しまった!」

慌てて先っぽのなくなったアンビリカブルケーブルの差込口をパージし、更に後ろに下がる

しかし着地の瞬間に足を絡め取られ、後ろへと投げられる

「うぁぁあ!!」

かなりの距離を投げ飛ばされた後、少し高くなっている場所に叩きつけられる




『初号機、アンビリカケーブル断線! 内蔵電源に切り替わりました!』

マヤの報告を聞いた時には使徒の姿を捉えた

「この野郎!」

軽く悪態を吐きながらも浮遊している使徒の下をスライディングの要領で使徒の下に潜り込む

『うぁぁあ!!』

シンジの悲鳴を聞くと同じタイミングでコアの真下に滑り込んで来た

「破あぁぁ!」

気合と共に寝そべった状態でナイフを使徒のコアへと突く。 しかし使徒も黙ってはいない

「にゃろ!」

左横から鞭が襲ってくるのを左手で掴むと、更に右側から襲い掛かってきた鞭を右手で掴む

いまだにコアに刺さっているナイフを渾身の力をこめて蹴り上げる

「これでどうだ!!」 数秒の競り合いののち、使徒は動かなくなる

同時に光の鞭も消え、使徒がセイジ、零号機にのしかかって来た

「うわ!?」

空いた両手で使徒本体を押さえ、周囲のビルを壊さないように気を付けながら地面に降ろす

「はぁ・・・。 ミサトさん、俺は陽動じゃなかったんですか?」

終わったからこそ言える言葉を言う

『しょうがないわよ。 シンジ君投げられちゃったんだも…わ!? ちょっとリツコ!?』

ミサトに代わってリツコの通信画面になる。 さすがは技術部だ

『セイジ君。 すまないけど初号機を近場の回収ルートまで引っ張ってきてくれる?
 少し厄介な事が起きたの』

「なんですか。 厄介な事って」




地面に叩きつけられ、苦痛にうめいたがすぐさま使徒を探す

『破あぁぁ!』

セイジの気合と使徒を発見したのはほぼ同時

『にゃろ!』

鞭の一つを受け止め、続いてもう片方も受け止める

『これでどうだ!!』

数秒の競り合いののち、使徒は動かなくなる

光の鞭も消え、使徒が零号機にのしかかっていった

戦闘は終了したようだ。 バッテリーの残量はあと150秒を切った

起き上がろうとした時にそれに気付いた

初号機の指の先100m程のところに人がいる事、そしてそれがトウジとケンスケだった事に

「な、何でこんな所に・・・」

二人が生きている事にホッとしながらも。 シェルターから出てきた二人に対して、少しだけ怒りを感じる

『シンジ君。 そのままでいて、そこの二人はこっちで回収するわ
 下手に動かすと彼らを巻き込むからセイジ君が行くまで動かないで頂戴』




「やぁ。 トウジ、ケンスケ。 無事でなにより」

声をかけたが二人は苦虫を噛み潰したかのような顔をしただけだった

「なんだよ、暗いなぁ。 せっかく生きてんだから喜ぼうぜ?
 指に踏み潰されなかったからだけじゃないくて、本来だったら衝撃波で吹っ飛ばされててもおかしくないんだ
ホント、良かったな」

「そうなんか?わいはようわからんのやけれども・・・」

本当に訳のわからなそうに言うトウジ。 苦笑しながら返す

「そ。 あのスピードで突っ込んできたロボットが巻き起こす衝撃波はもっとあってもおかしくない
…それで、何であんなトコにいたの? もし押しつぶされてたら、兄貴が立ち直れなくなってたよ」

「ん? じゃぁ紫のほうにシンジが乗ってたのか?」

ケンスケがメガネを光らせながら聞いてくるのを言葉を濁しておく

「ん? ま、いいじゃん、それは
 とにかく、これからコワ〜イお姉さんが来るから覚悟しとけよ?」

「ま、まさか記憶を消されたりとかしないよな!?」

ケンスケが顔を青くして言う。 トウジもそれにつられて顔を青くする

「さぁ? 楽しみだねぇ〜。 じゃぁ、健闘を期待するよ」

顔がにやけているのはわかっているが、あえて隠さずに二人のオドオドした所を楽しみながら部屋を立ち去った

(ま、これで戦闘中に民間人が巻き込まれないようにする為に何がしかの対策がされるんだ
 二人には感謝しても良いかもしれないな)

セイジの心の声は誰にも届かない…


定着してきた対話コーナー的後書き

幻魔狼「セイジ君、いい性格してるね(ニヤリ」

セイジ「それなりに、な(ニヤリ」

シンジ「二人とも、不気味だよ…」

レイ 「碇指令に似るわよ」

セイジ「それはマズイ。 勘弁してくれ」

幻魔狼「ユイさん似だから大丈夫だろうに…」

レイ 「ダメ。 半分は碇指令の遺伝子だもの」

シンジ「それって僕も!?」

レイ 「大丈夫、貴方は私が守るもの」

幻魔狼「レイさんや、セリフが数話分早いですが…」

レイ 「問題ないわ」

セイジ「待て待て、それは親父のセリフだろ」

レイ 「そう? …そうかもしれない」

幻魔狼「そうだってば」

レイ 「そう。 ところで、どうして零号機にセイジ君を乗せたの?」

幻魔狼「いや、だってミサトさんも言ってたけど、負傷者を戦闘に出す訳にはいかんでしょうが?」

レイ 「大丈夫よ。 私が死んでも替わりはいるもの…」

シンジ「そんな事ないよ!」

幻魔狼「だからさ、数話分セリフが早いってば…」

セイジ「ま、大目にみてやれよ」

幻魔狼「お前はいいよね、自分が活躍してるんだから」

シンジ「僕なんかほとんど意味無かったよね…」

セイジ「ひがむな。 ってか、俺が活躍できるのは幻魔狼が書いてるからだろうが」

幻魔狼「だって、シンジ君だけで勝つなんて本来無理でしょうが?」

シンジ「うわぁ、酷い事をさらっと…」

セイジ「確かにずぶの素人がTV版みたくなるにはトウジに殴られでもしてないと無理だわな」

幻魔狼「実際殴られてない訳だから、別に不自然な流れじゃないだろ?」

シンジ「でも、ミサトさんの指示はアバウト過ぎだった気がするけど?」

レイ 「だって、能無しだもの」

幻魔狼「あ、言っちゃった…」

セイジ「否定しとけよ、ボケ作者」

幻魔狼「だって、ホントの事じゃん?
    真正面から両機で銃撃しながら散開、片方に食い付こうとする使徒を空いた片方が攻撃ってのが理想じゃないの?」

シンジ「そうゆうのはよくわかんないけど…」

セイジ「ま、零号機を陽動に回したいんなら最初から初号機を正面に出すしかないからしょうがないんじゃないのか?」

レイ 「戦力の無意味な分散は愚者のする事…」

幻魔狼「…だ、そうだが?」

セイジ「無意味かどうかは分からんが…、結果オーライって事で」

シンジ「この先大丈夫なのかな?」

幻魔狼「ま、俺次第だな」

セイジ「コイツが生殺奪与を握ってるのは気に入らんが…」

幻魔狼「皆様の感想のメール次第で君は死ぬよ?」

セイジ「死にたくは無いね。 …それにしても、皆様の感想がどんなものか見てみたいね」

レイ 「今の所、一通もきてないわ」

シンジ「無残だね…」

幻魔狼「…うるせぇやい」