「知らない天井だ…」
ゆっくりとだが意識がはっきりとしてきた(えぇと。エヴァに乗って使徒にやられて、それから・・・)
急に寒気がして震え上がるシンジ。 別に病室の冷房の効きすぎではない(思い出したくないのかな。 …そうなんだろうな。 きっと)
物思いにふけっていると病室の扉が開いた「あ、兄貴。 目、覚めた?」
制服姿のセイジが入ってきた「・・・何か怖い夢でも見たような顔してるな」
「え、そう?」シンジは顔をペタペタと触る
「どうせエヴァの事でも考えてたんだろ?」セイジに図星を突かれて思わず唸る
「ま、気長に考えるんだな。アレは簡単にわかるもんじゃない
それよか、早く外に出よ?もう退院していいみたいだしさ。俺も兄貴も」「あ、うん。チョット待ってて」
着替えて廊下に出ると、初号機に乗る前に見た少女が、移動させられるベットの上で点滴を打たれながら寝ていて、セイジと話していた
「・・・結局あのボロマンションからは出てかないの?」「引越しする必要。 無いもの」
少女の口調はアッサリというより、感情というものがうかがえない「でもさ。 あそこはレイがいるから残るんだぜ?
「・・・碇指令は何と言うかしら」
作業が遅々として進まないのもそのせいだしさ。 いっそのこと引っ越した方がいいって」「父さん?それはレイが言えばどうにでもなるよ
最後の言葉はベットを移動させていた看護士に対してだ
じゃ、引越し決定ね。 手配はこっちでやっとくから、レイは気にしないでいいよ
…すいません。 ありがとうございました」看護士はそれを聞くと、ベットを移動させていった
そこでまできて初めて、セイジはシンジに向き直る「話しててごめんよ。 行こうか?」
「・・・うん」気の無い返事をしながら、目線がさっきの女の子を追っていた
自分でも気付かない内に…セイジが何故かニヤリと笑う。 相当に意地の悪そうな笑顔で。
「あの子の事。 気になる?」「え!? そ、そんな事ないよ!」
慌てて否定するがそれはセイジの笑顔を更に意地の悪いものへ変える役にしか立たなかったようだ「綾波レイ。過去の経歴は全て抹消されてる。
セイジがスラスラと彼女――綾波レイ――の素性を言っているうちに、シンジの視線はレイを追っていた
マルドゥック機関から選ばれた最初のチルドレン。
ま、もう少し知っている事もあるんだけども、これは簡単に言える物じゃないんでね」「おやおや。ずいぶん興味を惹かれたみたいですねぇ?」
他人行儀なセイジの言葉はからかう口調だ。 シンジはセイジに向き直る
「そ、そんな事無いよ!それより、早く行こうよ。」セイジは肩をすくめると、スタスタと歩き始めた。 シンジは慌ててそれを追う
広めの待合室に行くと、そこにはミサトがいた「元気になったかしらん?」
軽い口調で話し掛けてきた「えぇ。 まあ」
シンジは言葉を濁した自分が何をしたか覚えていないのに元気になれる訳が無い
だが、それをぶつけられるほどミサトとひたしい訳ではないので、躊躇ったのだ「ところでミサトさん。 兄貴の住むトコ決まった?」
セイジは自分の事のようにそれを聞いた「あぁ。 その事なんだけど
シンジ君はセイジ君と同居でいいの?」「え、・・・セイジはどうなの?」
兄弟とはいえそこら辺のことはしっかりと確認しておきたかった
「俺か? 別にどっちでもいいんだが、部屋の開きが無いんだけど」「じゃ、思い切って引っ越せば? そうね〜。 私の家の隣は?」
「え。 ・・・僕は別にいいですけど」そこでセイジを見る。 すると、セイジは眉根を寄せてこう言った
「・・・ミサトさん。 俺はミサトさんの家については見もしないし手出しもしませんから」「・・・?」
シンジには不思議なだけだった「ッチ。 ・・・じゃ、手配しとくわね」
そう言ってエレベーターのスイッチを押す。 今の舌打ちはいったい・・・(何なんだろ。ミサトさんの家は何か酷い物があるのかなぁ?)
シンジは知らない。 ミサトの家に酷い物があるのではなく、ミサトの家が酷いことを…そして暫く待っていると、扉が開く。そこにはゲンドウが立っていた
「おんや? 何しに来たの?」セイジがエレベーターに乗りながらゲンドウに尋ねる
「・・・・・・」ゲンドウは沈黙を返す
「あ、そ。 ・・・会いに来たのね。 兄貴は無視して」「・・・・・・」
これにも沈黙を返してくるセイジはやれやれといった感じで肩をすくめると、エレベーターに乗ろうとしないシンジを見る
「乗らないの? それとも、あの時みたいに逃げる?」「・・・あの時? あの時っていつの事?」
「・・・覚えてない? 実験の失敗の後の事」「!・・・あれは父さんが僕を捨てたんじゃないか!」
セイジの言葉を聞いて、反射的にセイジの目を睨んでいた「勘違いだね。 大体兄貴はあの時、父さんに声をかけた?
「!・・・わかんないよ。 ・・・その時何て言ったかなんてわかんないよ!」
『行かないで!』って。『一緒に居たい』って、言った?
少なくとも俺は、その時はそう言ったから父さんと一緒にいれたよ?」睨んでいた目を逸らす。その目線の先にミサトの靴のつま先が入った
「ま、いいさ。 ゆっくり思い出せば。
ミサトさん。 暫くは俺らのどっちかをミサトさんの家に居させてくださいよ。 気まずいから」どうやらミサトは頷いたようだ。扉は閉まった
(僕が、父さんから逃げた? わかんないよ、そんなの・・・)「シンジ君・・・。 行きましょうか?」
「・・・はい」
「不要な事で兄弟関係を悪くするな」
ゲンドウの言葉にため息を漏らしながら振り返る「あのねぇ。 ・・・いいや。 こっちの事だから気にしないで
「一ヶ月後に、弐号機と一緒にこちらにつく予定だ」
ちなみに俺の参号機はどうなってんの?」「そう。 これで使徒を一匹殺り損ねる事になるけど?」
「四号機を喰わせれば良かろう」「・・・パイロットはどうするの?」
「・・・・・・」この沈黙に対してセイジは肩をすくめる
「ちょっち、寄り道するわよ」ミサトはそう宣言すると愛車を高台へと駆る
(セイジの言う通りなのかな。 でも、僕は父さんに何かをして欲しかったような気がする・・・
だから父さんにわざときつい事を言ったような気もする・・・
とにかくセイジは悪くないんだ。 謝ろう)「シンジ君。 着いたわよ」
どうやら物思いにふけっている間に目的地に着いたようだ町はほとんど更地で、高い建物は少ない
「寂しい町ですね・・・」シンジが言うと、それに答えることなくミサトは腕時計をみて呟いた
「・・・そろそろ時間ね」突然、街中から聞こえたサイレンと共に大地からビルが姿を見せ始めた
ほとんど何も無かった平地は、次々と現れる巨大な建造物に埋め尽くされていく「・・・すごい・・・!」
「対使徒迎撃要塞都市・・・第三新東京市、これが私達の街よ。 そして、貴方が護った街でもあるのよ、シンジ君」ミサトは優しく言ってくれた。少しだけ、自分のした事に自信が持てた気がする
少なくとも、後悔はしていない(ミサトさん。ありがとう)
言葉には出来なかったが、笑いかけた事でわかってもらえたと思う
「「あ・・・」」
同時に言った言葉は、同じ声だった「あら、セイジ君。 お帰り〜」
「ただいま・・・」セイジはうかがうようにシンジを見る
「・・・多分セイジの言ったのが正しいと思うよ」言った言葉はどこか不機嫌に、言った本人にもそう聞こえた
「・・・うん。 でも、言い方が悪かったよ。 ゴメン」セイジはそれに対してではないが、素直に謝った
「は〜〜い。 じゃぁ仲直りの記念に食事会でもしましょ〜♪」ノリノリのミサトに、セイジはシンジが持っているコンビニの袋を見て、憮然として言った
「どうせインスタントな食事でしょ? だったら俺が作りますよ
3人分は無いけど、インスタント食品を工夫すれば足りるだろうし」どうやらセイジは、本当にミサトの家に入りたくない様だ
「そうね。 私の家はちょっち散らかってるからセイジ君の所にお邪魔するわ」「・・・セイジ。 ミサトさんの家って酷く散らかってるの?」
「まぁ、それもあるんだが。 ミサトさんがインスタント料理作るとわかるよ
少なくとも俺は無理だ。 アレは・・・」「なによそれ〜。 不味いって言うの?」
「アレを美味いって言う人を見てみたいよ・・・。 とにかく、兄貴は俺の家に来た方がいい。 絶対に」そこまで言うほどならばミサトの家に行く事は無いだろう
「そうするよ。 じゃぁ、家の鍵開けて」ミサトが文句を言っているが二人で無視を決め込む。そして玄関をくぐる
「「ただいま」」
マンネリ街道まっしぐらな後書き 幻魔狼「いやぁ、なかなか快調に進んでますねぇ♪」セイジ「内容が薄いが?」
シンジ「後の事考えて書いてる?」幻魔狼「イタイ!痛いなぁ」
レイ 「自覚があって直せないならタチが悪いわ」セイジ「俺等が被害を受ける前にどうにかしないとな」
シンジ「どうにか出来るの?」←幻魔狼を見るセイジ「…」←幻魔狼を見る
レイ 「…」←幻魔狼を見る幻魔狼「な、なんだよ…」
セイジ「まぁ、幻魔狼のダメージを考えないで言ってしまえば…」シンジ・レイ「無理…」
幻魔狼「お、俺だってやれば出来るんだあぁぁ〜〜…」←何処かへ走り去るセイジ「ま、こんなバカにメールをしてやろうと言う優しい人は… ここに送ってやってくれ」



