双子の歩く道 Session 14

「あ〜あ。猫も杓子も、アスカ、アスカか。」

そう呟いたケンスケは、無断で撮影した写真を無断で販売していた。

隣に居るトウジはその利益にあやかっている人物だ。

「ま、人間なんて表面上だけでも好きになれるもんさ。中身がどうであれ、ね。」

そう言うとセイジは昨日の事を思い出す。

 

 

黒板にきれいな筆記体で名前が書かれ、書いた本人が振り返り可愛く微笑む。

「惣流・アスカ・ラングレーです。  よろしく。」



 
 

それから現在に至るまでの僅かな時間をおいただけで、ケンスケの懐を温めるに十分なほどだ。

「ほんま、知らぬが仏ってやっちゃ。」

「お!?トウジがそんな事を言うとはなぁ…?
 ところで、今は誰が一番売れてんの?」

トウジが馬鹿にするなと言いたそうな顔をしているが無視してケンスケに尋ねた。

「う〜ん…。 綾波の合計数に惣流が近づきつつあるってトコだな。
 どっちも甲乙つけがたいよ。
 ちなみに男子だとお前がトップ。」

「へぇ、物好きも大勢いるもんだ。  俺で一位か。」

「あ〜ぁ。  いいよな、そう言えるヤツは。」

心底そう思っているらしいケンスケに、セイジは向ける言葉を持っていない。

「あらら、そうひがむなって。
 でも、俺自身が興味を抱けるようながいないんだよ、これが。」

「ちぇ、えり好みできるヤツは羨ましいよ。」

ハッキリとセイジに対して羨望と嫉妬を表しているケンスケのセリフに少しかまをかけてみる。

「…ケンスケ。 性格悪くなってないか?好みの女が俺のところにでも逃げてったか?」

「ハン。 違うね。
 …この三人の中で唯一、俺だけ彼女になりそうな相手がいないってのが気に入らないの!」

その言葉だけはトウジに聞こえないように囁くケンスケ。

セイジもそれに習う。

「委員長か…。 ケンスケ、お前にも春は来るはずだ。
 それまで耐えろ。」

突然ケンスケが泣き出すと、シャツの襟を両腕で掴んでくる。

かわせたのだが、あえて掴ませる。

「うおぉぉぉ!! なんで!?! 何で俺だけぇぇぇ〜〜!!」

セイジは彼の春が近い事を心から願うのであった。





 

「あ〜あ。  日本の学校ってつまんないの〜。」

学校から直接NERVへ向かうその道を、アスカと一緒に歩いているシンジ。

そのシンジにアスカは愚痴を漏らす。

「ははは……」

アスカの愚痴に、苦笑しか返答の方法がわからない。

「それにあの先生バカじゃないの? 政府の流したウソの情報を長々としゃべっちゃってさ。」

「ウソ?」

「はぁ? あんた知らないの?」

「…あ、あれだ! セイジが教えてくれたんだっけかな。
 確かNERVの前身の…ゲヒルンだっけ? それの実験の結果だったとか。」

「なんだ、知ってるじゃん。」

「…そこ、どいてくれる?」

いつのまにか立ち止まっていた二人に声をかけたのはレイだった。

「あ、レイ。  今日も零号機の機動試験か何か?」

「えぇ。  実践はまだ無理だけど、だいぶ調子が良くなってきているそうよ。」

「良かったね。」

二人でいい雰囲気をかもしだしてしまったのか、アスカが居心地悪そうに声を上げる。

「あんたが零号機のパイロット? 仲良くしましょ。」

「何故?」

「ナゼって…。
 エヴァのパイロットどうし、仲良くしといたほうが何かといいでしょ。」

「…必要があればそうするわ。」

シンジは二人が犬猿の仲だと半ば思い、どうにかこの場をしのごうとする。

「レイ。 それじゃぁ、あまりにも機械的じゃないか。」

「…そうね。  ごめんなさい…」

「べ、別にいいわよ…。」

アスカはこの話の展開の仕方に付いて来れなかったようで、多少なりとも困惑しているようだ。

 


 

シンジ達より一足早くNERVに着いていたセイジは少し面白い物を見た。

 
リツコの研究報告書を見さて貰えることになり、受け取りに行く時だ。

そこではリツコが加持に後ろから抱きつかれている状態で固まっており、リツコと加持の目線の先には、ガラスに額をくっ付けて、加持を睨みつけているミサトがいた。

「……教育衛生上、よろしい時間では無かったですか?
 まだ日は高いのに、お盛んな事で…」

呆れと侮蔑を軽く混ぜた言葉を加持に向けて発する。

「いや、なに。 ここは地下だから時間感覚がおかしくなったようだ。」

「まったくよ! 大体、アンタ。いつまでここにいるの?
 役目が終わったらサッサと帰りなさいよ!」

後ろから部屋に入ってきたミサトが言う。

「ハハハ、碇指令の勅命でね。 本部に転勤だよ。
 また三人で飲みに…」

加持の言葉を遮ったのは使徒襲来を伝える警報だった。

「まったく。 飲みに行けるのはいつになるやら。」

この場にいる誰一人とてその質問には答えられない。





 

『先の戦闘によって、第三新東京市の迎撃システムは先の戦闘からの復旧率26%。
実戦における稼働率はゼロと言っていいわ。

よって今回の迎撃は上陸直前の目標を水際で一気に叩く!
初号機と弐号機は目標に対し波状攻撃。接近戦で行くわよ。
参号機は中距離からの牽制と援護。
不足の自体に陥りそうになったら動いてもらうけど、そうならないと思うから気楽にやって。』

『あ〜あぁ、せっかくのデビュー戦なのに、何で一人でやらせてくれないの〜?』

ミサトの言葉に対してアスカが不満そうに言う。

「アスカ、これは実戦だ。
一人で十分だったとしても、念には念を入れなければならない。 わかってるだろう?
コッチに選択の余地は無いし、余裕を持ってる訳でもない。」

アスカのわがまま地味た言葉にセイジがミサトより早く釘を刺した。

『それはわかってるわよ。 でも、三人がかりなんて卑怯でやだな。
 趣味じゃない。』

臨戦体勢を整え終わると、暫くの時を置いて使途が水柱を上げて出現する。

「レディー・ファースト、ね。
 アンタはもう暫くここにいなさい。 私の腕前、見せてあげるわ!」

ソニック・グレイブ――薙刀のような武器――を持って使徒に突進する弐号機。

『でえぇやあぁぁ!』

そして使途を一刀両断にする。

『おみごと。』

そう感嘆の声を上げたシンジの初号機の横まで、セイジは参号機を前進させる。

『どう? 私にかかればザットこんなもんよ。』

武勲を誇るアスカが、こちらに弐号機を向かせる。

その背後に動きを見出した碇兄弟は、ほとんど同時に叫ぶ。

『「アスカ、後ろ!」』

使徒は切り裂かれた真中の部分から2体に分裂した。

『なんてインチキ!!』

インカムの向こうのミサトの言葉はもっともだが、これは使徒のほうが利口だ。

いや、一枚上手といったところか?

『こんのぉぉ!』

アスカは弐号機を使徒に向け反転させ、遠心力を加えた斬撃を加える。

使徒はそれをまともに喰らう。
がしかし、それは致命傷にはなりえなかったようだ。

残る一体を牽制するためにパレットライフルを撃ちつつ前進し、左手にプログナイフを装備する。

シンジも同じくパレットライフルで援護してくれていた。

二度目の役割の反転に内心苦笑しつつも使徒を左手のナイフだけで切り結ぶ。

手傷程度では一瞬で再生されてしまい、コアに傷をつけても、それすら修復される。

『もう! なんなの、こいつ等は!』

『三人とも、ここは一旦引いたほうが良さそうね。セイジ君。殿(しんがり)やってくれる?』

「いいですけど、弐号機の獲物ください。そしたら2体同時に相手をしてやりますよ。」

言うが早いか、右手のパレットライフルを使い、アスカの相手を引き止め、自分の相手を蹴りつけて、弐号機の傍に移動。

パレットライフルの換わりにソニック・グレイブを受け取る。

その際に、ナイフもラックに格納してしまう。

アスカの相手だった方をソニック・グレイブで牽制しつつも、現状を表示されたマップで確認すれば、初号機は回収ポイントに辿り着いていた。

弐号機は現在後退中…かと思えば、新にパレットライフルを獲物にしていた。

『チョット。 アスカ!?』

『私だってやれるわよ! 大体、デビュー戦で後退なんて出来るわけ無いでしょ。』

「命令違反は減給モノだよ?」

茶化しつつも位置取りを修正する。

それは分裂した使徒に挟まれる位置取りである。

『セイジ君!? …2体同時攻撃するつもり?』

「はい、出来るならアスカにもう一本槍を持ってきて貰いたいんですが…
 っと!?」

背後の使徒からの加粒子砲は、位置取り変更のおかげで偶然回避だきた。

「アスカ、早くもう一本を取ってきてくれ。
 さすがに2体1で武装が充実してないのは痛い。」

位置取りだけで二対一を回避しつつも、コアへの傷が簡単に修復されてしまうのに気付いた。

「リツコさん、使徒の特性とか分かりましたか?」

『手が止まらない程度に聞いて。  SS機関の状態から見て、相互補完しあっているようね。  やるなら同時にやらないと駄目だと思うわ。』

「了解。」

使徒との間合いを取りつつ様子を見ていると、アスカがソニック・グレイブを投げ渡してくる。

攻撃を受けないように受け取りつつ、使徒の位置取りを確認する。

一直線上に使徒二体が並んでいる。

ソニック・グレイブを片方投げ付け、使徒が攻撃をいなして無防備になった所にタックルする。

狙い通り一箇所にまとまった使徒だが、接近する前に2体同時に加粒子砲を撃ってきた。

地を這うほどに姿勢を低くし、頭上を素通りさせる。

支援を続行していたアスカのパレットライフルが使徒に当たるが、アスカには使徒の加粒子砲の一つが当たったようだ。

『きゃあぁぁ!!』

セイジはアスカの被弾に構わず突撃すると、二体を貫く為にソニック・グレイブを後ろに大きく振りかぶる。

「逝けえぇ!」

一体の使徒のコアを突くが、二体目が痛手を負う前に使徒が一体に融合しようとする。

ソニック・グレイブを手放し、素早くプログナイフを装備しつつもソニック・グレイブとのリーチ差を一歩で縮める。

融合の終わった使徒が参号機の接近を認める。

「遅い!!」

使徒が参号機に手のような部分を叩きつける寸前に、プログナイフを肩からタックルするように使徒のコアへ突き刺す。

まともに攻撃を喰らった使徒は少し吹き飛ばされつつも爆発した。

間近にいた参号機――そのパイロットであるセイジも――が巻き込まれる。

『セイジ君!?』

「あはは…。 い、生きてます。 はい。」

そう答えたセイジだが、参号機は無様にひっくり返っていた。


――あとがき――

【幻魔狼】 はい、最強

【セイジ】 そうしたのはお前だろうが

【アスカ】 ま、そうでないとオリキャラって目立たないしね

【レイ】  いえ、作者次第でいくらでも活躍するわ

【幻魔狼】 まぁ、俺には無理な話しだからな。 自然とこうなる

【シンジ】 開き直ってていいの?

【幻魔狼】 良くはないさ。 良くは無いが…

【セイジ】 一朝一夕で治るもんでもないしな

【アスカ】 ま、結局は馬鹿ってことでしょ?

【幻魔狼】 ぐぬぅ…

【レイ】  これ以上私達の見せ場を奪わないで

【シンジ】 セイジの死亡フラグなんて、全然実行されないしね

【幻魔狼】 …精進します。 だから、いま少しお待ちあれ…

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