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双子の歩く道 Session 13

「いや〜、豪華な水中花火ですね〜。」

空母オーバー・ザ・レインボウの海に面した通路で海上で起こっている水柱を見ながらセイジはそう言って、横に居る加持を見る。

「はは、気楽だな。 あれを節約すればもっと楽に資金繰りができるんだぞ?」

「それもありますが、あれはNERVの金じゃないですから…
 ま、副指令の言をかりれば『税金の無駄遣いだな。』…ですよ。」

似てもいない物真似はしないながらも冬月の言葉を使う。

「ふ、的を射てるじゃないか。 じゃ、部屋に戻ろうか?」

「その必要もないでしょ。
 アスカが弐号機を積んだ輸送艦に飛んだそうですし、傍観しましょう。
 ミサトさんに逃げたって思われたくないでしょ?」

加持は最後の言葉に対し、苦笑する。

「そうだな…、そうしよう。
 船橋に行こうか?」

「それじゃ、ミサトさんの善戦を見学しましょう?」


アスカの陰謀(?)により、無理矢理弐号機に乗せられたシンジは、どう考えても自分が弐号機に乗らなければならない必要性に思い至らなかった。

起動する時に「ドイツ語で考えなさいよ!」とか言われたりと、いいとこ無しである。

しかし、戦闘には協力できるはずである。自分の出来る範囲の事で協力しようと決意するシンジであった。


船橋では、ミサトと船長がマイクを取り合っていた。その後ろでは弐号機が起動している。

今まで弐号機を覆っていたシートをマントよろしく巻きつけた状態である。

使徒が真直ぐに弐号機の乗る輸送艦へと突撃していった。

弐号機は華麗にジャンプし、途中でマントを放り投げ、真紅の機体をあらわにする。

弐号機に踏み台にされた船の乗組員に心の中で謝辞を述べながらもセイジはアスカのエヴァさばきを見て、学ぶべき所を探しながら、持参のノートパソコンを起動させ、ケーブルと無線でリンクさせる。

さらに3隻を踏み台にして、この船に着艦(?)する。

その際の艦長の「でたらめだぁ。」の言葉には心の中で賛同する。

着艦時に艦載の戦闘機が海上に落ちたのを受けて、ケンスケの言った「もったいない…」にも賛同する。

ヘリで持ち込んだケーブルを繋いでプログナイフを装備、艦上で使徒を迎撃するようだ。

「どうするつもりだ?」

「使徒を殲滅するには近接戦闘がベストです。」

ミサトと船長の会話を聞きつつも戦闘を見る。使徒が海上から飛び出し、弐号機に襲い掛かる。

それを見事受け止めて見せるが、艦長の心配は他の一点にあった。

「冗談じゃない、飛行甲板がめちゃくちゃだ!」

だそうだ。

確かにこれだけ艦載機と甲板が被害を受けたのだから、船に愛着があるなら言いたくもなるだろう。

弐号機が稼動リフトに足を乗せると、その重量に耐えられなかったのか、リフトが沈む。

ついで弐号機も海に落ちる。

「見ろ! 落ちたじゃないか!!」

「何とかなります。」

ミサトのセリフに無責任さを感じながらも、ケーブルによって海に落とされる艦載機を、再びケンスケと同じ思いで見送る。


ケーブルが伸びきり、その反動で使徒を取り逃がす。

「しまった。」

アスカの叫びを聞きながらも弐号機の状態を確認しておく。

各部に異常はないが、それはあくまでB型装備でだ。水中戦闘に向いた装備ではない。

「まったく、何で海上輸送するのにB型装備なのよ!」

悪態を付きながらも、機体の調子を掴もうとしているアスカ。

動きは陸上の時よりもかなり緩慢である。

「もう! どうするのよ!?」

アスカにそう言われるが、どうしようもない。

「そんな事言ったって、無理だよ。」

「んもう、だらしないわね! サードチルドレンの癖に!」

『二人とも、文句言ってないで準備しろ、使徒のエサになっちまうぞ。』

「わかってるわよ!」

セイジの言葉にアスカが返している間に、シンジは使徒を見つけていた。

「アスカ、来たよ!」

使徒が口を開けた時、アスカが悲鳴を上げる。

「くちいぃぃ〜!?」

「…使徒だからね…。」

数瞬の後に、使徒に食われた衝撃に翻弄される。

衝撃でシートの前方に放り出されてしまった。

アスカに負ぶさるような体勢でレバーを握り、どうにかしてエヴァを使徒から離そうと頑張っていると、アスカにレバーから引き離される。

「チョット、いつまで乗っかってるのよ。 エッチ!」

「でも、どうにかして離れないと…」

『アスカ、いい? 絶対に離さないでね。』

ミサトの指示にアスカと顔を見合わせる。


作戦の全容はこうだ。

アンビリカルケーブルを引き揚げ使徒を誘導し、その間にエヴァは使徒の口を開口させる。
自沈させた残存戦艦2隻による主砲によるゼロ距離での直接攻撃後、さらに自爆攻撃による使徒殲滅…。

戦艦自体は装備されているキングス弁を抜く事により自沈可能だ。

戦艦2隻と他艦とその乗組員の安全のため、船長はそれを許可した。

『全艦、キングス弁を抜きました。 Z地点に対し沈降開始!』

「了解、ケーブルリバース!」

ミサトの号令に従い、ケーブルが引き揚げられる。

『EVA浮上開始! 接触まで、あと70!』

『接触まで、あと60!』

「使徒の口は?」

「まだ開かん。」

ミサトの問に、焦ったように船長が答えた。

『戦艦2隻、目標に対し沈降中!』

『EVA浮上中! 接触まで、あと50!』

『目標はテンペストの艦底を通過!』

「間に合わないわ!  早く!」

『接触まで、あと20!』

「考えを集中させて!
 口を開ける事だけを考えるんだ!」

特に深い考えではないが、エヴァとのシンクロ状態にある二人の思考を合わせるためにセイジが二人に言う。

『『やってる(わ)よ!!』』

アスカとシンジは同時に言葉を返すほどユニゾンしていたらしい。

アンビリカルケーブルを介して取っているデータに、セイジの想像外の出来事が起きる。

(シンクロ率が跳ね上がった!?)

使徒の口が開き、戦艦2隻に向かいミサトが命令する。

「撃てぇっ!」

水中に今までに無いド派手な水柱が上がり、そして弐号機も噴き出される。

飛行甲板に着艦すると、弐号機は停止する。


新横須賀で、多少の破損のある弐号機の引上げ作業が進んでいる。

何があったのかは不明だが、加持とセイジはリツコに一声かけると本部へと一足お先に出発していた。

「また、派手にやったわね…」

ミサト達を出迎えに来たリツコが呆れたように言う。

「水中戦闘を考慮するべきだったわぁ〜。」

ミサトも疲れた様子でリツコの嫌味にも反応しない。

乗っているジープの背もたれに首を置き空をボーッと見ている。

「あら珍しい、反省?」

「良いじゃない? 貴重なデータも取れたんだし〜。」

「そうね…。 ん?
 …ミサト。」

書類をめくっていたリツコの手が止まり、ある一点に注目する。

「ん〜〜?」

「これは…。  場合によっては本当に貴重だわ。」

その二人のもとへアスカが走ってくる。

「ね!  加持さんは?」

「アイツならセイジ君と一緒に本部に行ったわ。
 何でも急ぎの用事があるんだってさ?
 アスカのガードはコッチに任せるとか言ってね。」

「えぇ〜〜!?」

アスカの落胆の声が晴天に響く。


司令室にはゲンドウと加持と冬月がいた。

「いやはや、波乱に満ちた船旅でしたよ。」

加持は苦笑交じりに言うと、ジュラルミンケースをゲンドウの目の前の机の上に置く。

「まさか、海の上で使徒に出くわすとはね。
 …やはりこれの所為ですか?」

厳重にロックされているそのケースを開けると、こう言う。

「すでにここまで復元されています。
 硬化ベークライトで固めてありますが、間違い無く生きています。
 『人類補完計画』の要。 “アダム”…」

「最初の人間、“アダム”の欠片だよ。」

そう言うゲンドウの表情はいつにも増して不敵なものだった。


「あ〜、大人の会話って嫌だねぇ…」

ポツリと呟きながら、セイジはイヤホンを取る。

何所とも判別がつかないような暗い、狭い場所。

空気は冷たく、音も換気ファンの音以外は聞き取れない。

「アダムにリリス。
 後はロンギヌスの槍で手駒は揃うって所か…
 ゼーレとしても、俺みたいにスタンドアローンで戦闘できる奴なんて厄介者だろうし、消されそうだなぁ…」

呟きながら、ある仕掛けを施していく。

今後の活動を左右する大きな仕掛けを……


「ほんま、いけすかんヤツやったな〜。」

トウジの言葉に首を縦に振り賛同するケンスケ。

「ま、わいらはもう合わんからええけど、センセは大変やな〜。」

「そうそう、エヴァのパイロットだから。」

そう言う二人になんにも言い返えせないシンジであった。

隣に居るセイジが、意味深に笑う。

「お前ら、自分の事を棚に上げるのはよしとけよ。
 どうせお前らも被害を喰うんだから…」

「は?  どういうこっちゃ?」

トウジが質問するとこう答える。

「ま、HRが始まればわかるよ。」



そう、アスカがこのクラスに転校してきたのだ。

トウジ、ケンスケは思わず悲鳴を上げた一方、シンジはこう思うにとどまった。

(あぁ、僕の平和がまた一歩、遠のいた…)


――あとがき――

【幻魔狼】 はい、平和なようで波乱万丈の始まりなのです

【セイジ】 嫌な言い方をするなぁ…

【アスカ】 私のせいで波乱万丈って事?

【レイ】 赤毛猿に学校は無理ですもの

【アスカ】 ムッキ〜! 黙りなさい人形娘が!!

【シンジ】 ふ、二人とも落ち着いて…

【幻魔狼】 そうそう、別にアスカのせいで波乱万丈になるなんて言ってないしね

【アスカ】 あ、そう。 で、どんな波乱万丈なのよ?

【幻魔狼】 10話辺りの老人どもの会話は覚えているかな?

【レイ】 セイジは不必要になるから切り捨てる、みたいな事を言っていたわ

【シンジ】 あ、あんまりな言い方じゃない?

【幻魔狼】 まぁ、あながち間違ってないがな

【セイジ】 要するに、死亡フラグが完成しつつある、と?

【幻魔狼】 その通り

【シンジ】 …いいの? そんな事バラして

【幻魔狼】 どうせお約束になるんだからいいの

【レイ】 作者としての質は良くないわ

【幻魔狼】 …悪ぅござんしたねぇ





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