back(session10) back(session10片割れの話し) index next闇が支配する空間の中、パイプ椅子に座っている。
そしてそれを囲むようにして、11枚の黒い板が映し出されている。それらには赤い字で何か書いてあるが見る気にはならない。
彼等はゼーレのメンバーであり、セイジは今審問を受けている最中だった。「君はチルドレンとしては登録はされていない……
「そう言われても…… 自分はサードチルドレンだ、と思ってましたから。
これはどういうことかね?」
碇指令の不手際でしょう。
原因が在ったとしても、一介のNERV職員の俺が知りえる範囲を超えてますよ。」「左様。しかしキミの父親、碇ゲンドウは自分の代わりにキミを差し出した。
別の一人がいぶかしむ様に言う。
これはキミが事態を知っているからと受け取るのが自然であろう?違うのか?」「それは… その通りとは思いますけど、生憎と知らない物を答える特技は持ってないんです。」
「…そうか。
君の場合、登録自体はNERV職員となっていものの、他のチルドレンとは比較にならない戦闘能力を有している事は明らかだ。
これらに免じて、今までの経歴は全ての事を不問とし、君はこれからはエヴァ参号機専属のパイロット、フォースチルドレンとして働いてもらおう。」「それは分かりました。
「君に質問は求めては…」
でも、参号機は委員会の働きかけで弐号機より先に到着したと聞きいてます。
これは俺がチルドレンだと認定しての事だと思うのですが…?」「まぁ良いではないか。
他の板が発した言葉を制した板は寛大だったようだ。
しかし碇セイジ君。 我々と委員会は別組織だ、彼らの考えは私達にはわからんのだよ。
…これで納得してもらおう。」どちらにしろ、セイジの偽りの態度に気付けぬ程度の人間のようだが…。
「まぁ、答えられてもどうしようもない質問だったから良いんですけどね…
取り敢えず、納得しときます。」「宜しい。 では、君の働きに期待する…」
黒い板が消え、そしてゆっくりとだが照明が明るくなっていく。後ろにある扉から出ると、そこは司令室だ。
人影を確認して言う。「さて、どういうことか話し欲しいんだけど?」
そう告げた相手は自分をアノ場に追いやった張本人、碇ゲンドウであった。「何か問題があるのか?」
何事も無かったかのように言うゲンドウに対し、セイジの苛立ちは増す。「あるね。 俺はあんたのシナリオに乗った。
「私がいつ、お前をパイロットとして登録すると言った?
それはあんたを信用しての事さ。
まさかチルドレンとして登録されていないとは思わなかった。」
ゼーレの連中には知られない方が良かったが、ここまで来ては、いた仕方あるまい。」セイジを見ず、外の景色を見ながら言うゲンドウに更に苛立ちが増す。
「そうか、やはりあんたは俺達を駒としてしか見ていなかったんだな…。」「セイジ君。
ゲンドウではなく、冬月がセイジの言葉に答えた。
奴らは自分達のシナリオが狂うようなイレギュラーは許しはしまい。
君の、そしてシンジ君の為だったんだ。」「そう言うのを嘘も方便って言うんですかね?」
「確かに納得できる話しではないだろう。
だが、それもまた事実なんだよ。」「…ま、俺もまだガキだし、大人の思考はよく分からない。
自嘲気味なため息を残してセイジは部屋を出る。
いま少し、この命は預けておきますよ、冬月先生。」「碇、今回の行動だけは軽率だったのではないのか?」
セイジの出て行った方向を見ながら強張た表情でゲンドウに言う。「これは踏絵ですよ、冬月先生。
「っふ、君も人の子だったな…」
これで他に流れるようなら、これ以降の我々とは居られません。」自分の指定席に座り、詰め将棋を打ちながら言う。
「私はユイに会うためならば、人であることも捨てます。
自分の子供でも……」「彼等は彼女の子供だ。
「またそれですか。
彼女が殺すのを望んでいると思っているのか?」
私はもう決めたんですよ、冬月先生……」「碇……」
これ以上は口を挟むべきでは無いと判断し、冬月は詰め将棋の本に目を落した。
尋問対象のいなくなったゼーレのバーチャルネットワーク会議。
11人は話し合いを再開していた。「碇セイジ…
「危険だ。 力がありすぎる。」
彼をどう考える?」「左様。 あのような突出し過ぎた力は災いを呼ぶ。」
「しかし、彼が抜けたネルフで何所まで出来る?」「元々は零号機、初号機のみでの戦闘だった所に参号機が入っただけだ。
「分かっていないようだね。
弐号機と入れ替えれば話しは済む。」
単純に機体数の話しではないのだ。
同じ一機であろうと、パイロットの質次第では雲泥の差になりうる。」「それも一理あるが、彼が居ては計画の邪魔だよ。」
「しかし、使徒を倒さない事には我々の計画も水泡に帰すのだ。
まだ時ではなかろう?」「時期を見て芽を摘む、という事に異論はあるまい?」
01のナンバーが刻まれた者の発言に、一同が沈黙した。「先ずは彼を摘むタイミングを見図らなければなるまい。
「左様。 それこそが最も容易い道。」
それに、ネルフでの彼の存在感も重要だ。
彼の死は、最も効果的な揺さぶりになろう…」「使徒の残りとネルフの内情、これら二つの条件が揃った時に彼を消す。
再び同意の意味を含んだ沈黙が流れる。
これに異論は?」「それでは、これで解散とする。」
「「「「「「「「「「「全ては我等の未来の為に」」」」」」」」」」」
今日は今まで延期されていたトウジの妹――ナツミ――の見舞いに行く事になっていた。セイジが来るまでと、シンジとトウジは話しをしていた。
普通の雑談から始まり、ナツミの話しになった。どうやらナツミはセイジに興味があるらしい。
二人を連れて見舞いに行く時には、前もって知らせるようにと厳命されたとか。トウジはナツミには強く出られないらしく従っているとか。
とにかくそんな話しをしていた。暫らくして待ち合わせ場所に来たセイジは表情が余り冴えなかったが、疲れているせいだと言われ、納得はしないものの、二人とも何も言わなかった。
入った病室はキッチリ整理されていて、小奇麗と言う表現がピッタリだった。相部屋だったのだが、入院者が一人しかいないために生活感が薄い。
トウジが紹介を始める前にセイジがナツミに話し掛ける。「初めまして、鈴原ナツミさん。」
「あ、初めまして。 …えぇと、あなたは?」戸惑いを隠せない様子のナツミに、セイジは苦笑しながら答える。
「ああ、自己紹介なんかしてなかったか。
俺は碇セイジ、ホントはもっと早い時期にお見舞いに来たかったんだけどね、色々とあってすぐには来れなかった。」「あ、いえ。 あのロボットのパイロットをしてるんですからしょうがないですよ!」
慌てて取り繕うように言うナツミにセイジが軽い笑みをみせる。「そう言ってもらえると気が楽になるよ。 有難う。
セイジのテンポに付いて行けず、固まっていたが、セイジに促されてベットに近づく。
で、コッチが俺の兄貴で碇シンジ。」「えっと、初めまして。」
「初めまして。 ごめんなさいね、転校早々お兄ちゃんに絡まれちゃったみたいで…。」自分の事のように謝るナツミをみて、改めてこの兄妹の絆の強さを知る。
「いや、トウジがナツミちゃんの事を考えてるって事が後からわかってさ。
トウジが怒るのも少しはわかるんだ。
僕もセイジがそんな風になったらトウジと同じことやるかも知れないからね。」「だってさ。良かったねお兄ちゃん。」
笑み万点の表情で嬉しそうに言うナツミ。「なんや、何がよかったん?」
「だって、喧嘩売られて買わずに、お兄ちゃんの事理解してくれる人がいるんだもん。
それが悪い事だって言うの?」「あぁ、もう。そないな事、今更言うなや。 すまなかったって思っとるわ。」
トウジは覇気が無いながらも言い返す事にだけは成功したようだ。「あ〜ぁ、お兄ちゃんがもっとよく考えてから行動出来ればね〜。」
しみじみと言う所からして、トウジは何回かこういうことをした事があるようだ。「そない言うてもしゃ〜ないやないか、こない性格になってしもたんやから。」
兄妹漫才じみた二人のやり取りに、セイジと共に笑っていた。「もう、お兄ちゃんがセイジさんだったらなぁ…」
「ん?俺がどうかしたか?」シンジは事の真相とも言える部分を知っているが、あえて口に出そうとはしない。
「え、えぇと、それは…… あの、その…」ナツミが口篭もる様子で大体察しがついたのかセイジがトウジを見ると呆れたように言う。
「トウジ、妹が困ってる時には助けてやれよ。」「今回はわいの解決できる事やない。 ま、頑張りや〜。」
「ぶ〜ぶ〜〜。」頬を膨らませるナツミ、それに対しトウジは我関せずを貫くつもりのようだ。
「まったく、怪我した当時の慌て様は何所に行ったんだ?」「な、それは言わんといてぇな…」
情けない声を出すトウジ。シンジはそれに追い打ちをかける。
「ホントだよ、会って早々殴りかかられそうで怖かったんだから。」「せやからそれは悪かったっちゅうねん。
「そりゃそうよ、私が止めたのも無視してそうゆう事するからいけないのよ。」
てか、おのれらはわいに恨みでもあるんかいな!?」多勢に無勢の3対1の状況が生まれる。
「にしても、あれが兄貴だとナツミちゃんは苦労するだろ?」「そうなんですよ!いつもいつも手が先に出て、それで家族の皆にも迷惑かけて…」
「あぁ、トウジなら有り得る。」ナツミによるセイジへの、トウジの悪口のオンパレード状態で、シンジ、トウジ共に口を挟む出来ない程、ナツミの口から悪口の数々が飛び出している。
セイジは最初に話を振って以降は、聞き側に徹している。セイジが聞き上手なのかナツミが欲求不満だったのか、そのやり取りは衰えることを知らなかった。
「なんや、ええ雰囲気やのう…」トウジが耳打ちしてくるのに頷いて答える。
シンジ達は夕飯の時間三十分前までここにいたが、シンジがナツミと話したのはセイジの10分の1であった。
後書き 幻魔狼「はい、何となくお見舞いまでさせてみました〜」シンジ「な、何となくって……」
セイジ「これ以降、ナツミちゃん出す予定ってあるのか?」幻魔狼「え? 予定すらないけど?」
シンジ「なんか、酷い扱いだね…」レイ「問題ないわ。 だって、チョイ役だもの……」
幻魔狼「そ、チョイ役なんだよね」シンジ「ほ、ホントに扱いが酷くない?」
セイジ「チョイ役って断言されたら仕方ないんじゃないか?」シンジ「そ、そうかなぁ…?」
幻魔狼「そうだよ。 酷いなんて言ったら、今のアスカさんの扱いは?」セイジ「完全に出て来ないよな?」
レイ「アカゲザルは五月蝿いだけ。 いらないわ」シンジ「そ、そんなものなのかなぁ?」
アスカ「納得するなあぁぁ〜〜〜!!!」←勢い良く登場レイ「五月蝿い…」
幻魔狼「うん。 五月蝿いね」セイジ「限度を弁えろよ、アスカ」
シンジ「み、耳が……」←耳がキーンって鳴ってるアスカ「ちょっとアンタ達! このアスカ様を無視して話しを進めようなんて良い度胸してるじゃないの!?!」
幻魔狼「だって、まだ登場シーンないんだもん」セイジ「まぁまぁ、ここは穏便に穏便に」←殴り掛かりそうなアスカを抑える
アスカ「…ま、まぁいいわ。 私は大人だから見逃しといてあげるわよ」幻魔狼「ってか、次回は登場予定なんだから、焦らなくてもよかったのに…」
アスカ「へ? そうだったの?」レイ「間抜けなお猿さん」
シンジ「あ、綾波ぃ…」アスカ「…ちょっとファースト。 後で付き合いなさいよ」
レイ「イヤ。 私が付き合うのはシンジ君だけ……」←シンジと腕を組むアスカ「っ!? 惚気てんじゃないわよ!!!」
セイジ「ほらほら、落ち着く落ち着く。 そんなんでカッカしてたらエースにゃなれないぞ?」アスカ「ぅう、でもさぁ…」
レイ「デモもストもないわ。 お猿さんにはエースは無理」シンジ「あ、綾波?!」
アスカ「フフフ…… アンタみたいな人形がよくも人様の言葉を使うわねぇ…」セイジ「まったく、生理的に嫌うのは仕方ないが、ここまで決定的に仲が悪いのはどうしようもないな…」
シンジ「ほ、ホントに…」幻魔狼「では、喧嘩両成敗…」
セイジ「よし、許可が下りたんでお持ち帰り〜」←アスカをお姫様抱っこして何処かへアスカ「ちょ!? 降ろしなさいよぉ!!」
シンジ「僕はこういうの向いてないんだけどなぁ…」←レイを連れてセイジ達の反対側へレイ「今日こそ最後まで……」
シンジ「うわぁ! や、やらないよぅ!」幻魔狼「…成敗って言うよりは天国逝きの快速急行か? これって…」