back(session9) back(session10)シンジは寝不足だがミサトに拉致(?)されたセイジを見送りながら昨日の出来事を思い出していた。
家に帰ってくる頃には既に空は太陽を見ることは出来ず、その残滓である夕焼けを見るような時間だった。(今日はセイジが炊事当番だったよな。
長時間に渡る射撃訓練の疲労は相当な物だった、まぁ接近戦よりも楽なのだが…。
明日の朝食は僕か、残り物で済ませよ。
セイジはいつも通り多めに買い物しておいてくれてるだろうし。)家に入り、冷蔵庫から“シンジ用”と書かれたウーロン茶のペットボトルを取り出して、直接口を付けて飲む。
少なかった中身を飲み終え、水でゆすいで乾燥させようとしているとレイが現れた。入浴直後だった様で、髪は今だ雫を垂らさない程度にだが濡れている。
肩にはバスタオルがかけられているが、それだけだ。そう、それだけ。
他に何も身に付けていないのだ。正面にある机のおかげでどうにか下半身は隠れているが、胸を偶然に、そして申し訳程度に隠しているバスタオルの間からは素肌がお目見えしている。
「え、チョット。 あ、綾波…」唖然としているシンジを気にせず、レイはシンジへ…
たじろぎながらも少しずつ後退する。
正確には冷蔵庫へ歩み寄る。レイは冷蔵庫から自分用の麦茶を取り出し、コップに注ぐ。
「なにをそんなに見てるの?」麦茶を戻してからシンジを見ると不思議そうに言う。
「え、あ! ゴメン…」慌ててレイから目をそらすシンジ。
「どうして謝るの?」心底不思議そうに言うレイに、しどろもどろになりながらも答える。
「え、…それは、だって………
は、裸、見ちゃったから…」「…裸は見られてはいけないの?」
当然の事を不思議そうに聞くレイの言い方には違和感があるのを通り越して呆れる位だ。「そりゃそうだよ。
「…そう。 わかったわ。」
特に女の子の裸な訳だし・・・」レイの足音が遠ざかったのを聞いて取ってすぐさま自室に引きこもる。
(うっわ〜〜、初めてナマで見た………
っじゃなくて!! 何でレイはあんな事言ったんだろ?
普通はわかるよな…)呆然としていると時は経っていた、腹が鳴るまでそれに気付かなかったのだが。
部屋を出て、食事のために食卓へ座ろうとする。セイジとレイは既に座っており、食事も半ばまで進んでいた。
食卓へ着こうとするとレイと目が合う。(うわ、気まずい…)
レイは気にした風もなく再度食事に取りかかるし、セイジはそんな事はつゆしらず食事を続けている。「…いただきます。」
自分も食事を始めながらチラリとレイの様子をうかがってみる。またしてもレイと目が合う。
「なに?」「え、あ。 いや、…なんでもない。」
レイが何を考えているのか知る余地もないが、少なくとも日常生活上の常識には疎いようだ。セイジがサッサと食事を済ませ、食器を片付けてから自室に戻る。
「ねぇ、綾波。」「なに?」
口調はいつも通り、別に怒ってはいなさそうだ。ここでわざわざあの時の事を口に出すほどシンジは馬鹿ではない。この前の授業中にトウジ達に聞いた質問を本人にぶつけてみる事にする。
「いつも一人でいるけど、友達とかいないの?」「友達は…いるわ。
「…つまらなくない? 一人でいて。」
でも、いつも一緒にはいない。
…それが?」「…わからないわ。
「僕は、一人は嫌だ…
他の人といる事、少ないもの。」
綾波は?」「…私は、皆が生きていればいい。」
「…それだけじゃつまらなくない?」「…別に。」
「そうかなぁ…。」返す言葉に詰まっていると、話は終わったとばかりにレイは自室に戻ってしまった。
気付くと後ろにレイがいた。
「学校、遅刻するわ。」言われてやっと自分がどれだけここに突っ立っていたかを思い知る。
「あ、ほんとだ。 ありがと。」鞄は自分の部屋に置きっぱなしだったので急いで取りに行く。
玄関に戻ってくると、靴を履いた状態で、レイが待ってくれていた。「綾波? 待っててくれたの?」
レイはコクリと頷く。それに対し、シンジは満面の笑みを浮かべて言う。
「ありがとう。 じゃ、行こうか。」「ええ。」
レイも軽くだが微笑んだ。いつもより少し早く歩いていると、後ろからレイが声をかけてくる。
「…昨日、セイジ君に言われたわ。
わからない事があったら何でも聞いてくれって。」「え、セイジ?
歩くペースをレイに合わせながら聞く。
昨日はまた徹夜してたんでしょ? いつ会ったの?」「寝る前にセイジ君の部屋の前で。」
「そうなんだ。
珍しいな、セイジが徹夜するときに部屋から出てくるなんて。」「私、前から気になっていた事があるの。
「え? 別に良いけど。」
聞いていい?」急に今までの雰囲気とは違う、真剣なものを感じて、反射的にそう答えた。
「セイジ君とあなた、兄弟なのに違う所で暮らしていたのは何故?」「あぁ、それ?
「…えぇ。」
…父さんが実験を失敗させて母さんを殺しちゃったって事、知ってる?」「その後ね、僕は父さんのとこから逃げたんだ。
「…そう。 答えてくれて、ありがとう。」
セイジは父さんの所に残ったんだけど、暫くしたら父さんがセイジの面倒を見てやれないって事でさ?
やっぱりセイジも親戚に預けられたんだ。
偶々その預け先が僕とセイジで違ったんだよ。」「ホントはもうチョット入り組んだ話になるんだけどね。
「そう。」
ややっこしいからやめといた。」ふと携帯を取り出し、時間を見れば既に一時間目が始まっていた。
「あ、完全に遅刻。
どうする? どこか寄って行こうか。」「…任せるわ。」
「うん。 じゃぁ、あそこの公園にでも行こうか。」近場にあった公園を指差すとレイは頷いた。
公園に入り、ベンチに座るが、その後は何をするでもなく座っているだけになってしまった。何とかして話をしようとするのだが何を言って良いのかわからない。
視界の隅を丸っこい黒い物体がゆっくりと通り過ぎようとしていた。「…猫。」
そう言ったのはレイだったが、立ち上がって猫に近づいたのはシンジだった。「あ、この猫人に慣れてるや。」
近づいても逃げようとしない猫を捕まえ、抱き上げる。「うわ、結構重い。
レイもシンジに…猫に近づいてくる。
首輪は付いてるから飼い猫だな。」「……」
「猫、珍しい?」「実際に見たのは初めて。
「大丈夫だと思うよ。
…触ってもいい?」
大人しいし。 ま、僕の猫じゃないんだけど。」レイが喉の辺りを撫でてやると、ブチのデブ猫は気持ちよさそうに鳴いた。
レイも嬉しそうにしている、ように見える。「綾波も抱いてみる?」
レイは少し躊躇いがちに頷いた。それを見て取ると、シンジは抱き方のコツを教えつつ、レイに猫を抱かせる。
猫は嫌がりもせずにレイの腕の中に収まる。「あ、コイツ。 僕が抱いてる時より大人しくしてる。
「…暖かい。 命の温もり。」
よっぽど綾波の腕の中の方が良いんだな。」言う事が詩人的な感じがするが、レイの表情は優しく見える。
暫く猫にかまっていたが、猫が何所へともなく消えてしまったので、学校に向かう。「綾波ってさ、動物とか好きなの?」
「どうして?」「猫抱いてる時とか。
「な、…何を言うのよ。」
…なんかさ、すごい綺麗だった。」レイの顔が赤くなっている。
「優しいんだね、綾波は。」その言葉に、レイは更に顔を赤くして、伏せてしまう。
セイジの苦労も、そしてこれからの男子生徒諸君による拷問じみた質問攻めの事も知らず、今は平和な気分のシンジであった。
学校に着いたのは一時間目が終わって少し経った時だった。レイと一緒に登校してきたのをケンスケに見られ、トウジを先頭として怒涛のごとくシンジを苦しめた男子生徒たちは、レイが笑顔を見せる事をシンジから聞き出し、相当困惑した。
だが、それを実際に見ようと試みた者は誰一人とていなかった。レイはレイで、シンジに好意を寄せている女子生徒諸君から羨望か嫉妬の眼差しを受けていたが気にした様子は無かった。
ちなみにセイジに好意を寄せる女子生徒はシンジのそれの1.5倍はいるそうだが、その人たちは安堵していたと言うが、それはシンジ、セイジともに知りえない話だった。
後書き 幻魔狼「さて、今回は初のサイドストーリーでしたが、いかがだったでしょ〜か?」セイジ「俺のいない間に、こんな平和な事やってたのか…」
レイ「裏世界の住人には関係ないわ」シンジ「あ、綾波……」
幻魔狼「いやいや、事実隠蔽の為に上辺だけでも平和な生活は必要ですよ?」レイ「そうなの?」
セイジ「……そろそろやめてくれ」幻魔狼「ふふふ。 本編後書きの最後に君が何て言ったのか覚えていないのかい?」
レイ「『あぁ、もうどうにでもしてくれ…』だったわ」セイジ「ここで引っ張ってくるのかよ!?」
シンジ「ま、まぁ本編に被害が無くてよかったじゃないか」幻魔狼「ふふふ。 油断大敵+注意一秒怪我一生だぞ?」
セイジ「意味がわからん」幻魔狼「それだけで終わるほど甘くないって事だよ」
シンジ「し、しつこいんだね…」レイ「鼈のように、喰らい付いたら離れないのね…」
セイジ「ハァ…… ホント、勘弁してください…」幻魔狼「まぁ、別段恨みがあるわけじゃないから、適度にやるさね。 適度に」
シンジ「以降に御期待ってこと?」ミサト「その通り! 次回も、サ〜ビスサ〜ビスゥ♪」
幻魔狼「呼んだ覚えは無いんだけど…?」
ミサト「いいじゃない。 たまには私も出たいのよ」
レイ「TV版の次回予告ね…」
リツコ「ミサト! 抜け駆けは無しよ!」
ゲンドウ「……減俸八ヶ月」
冬月「碇、いくらなんでもやりすぎだぞ?」
日向「葛木さん…」←ミサトのバックアップをしていて置いてけぼりを喰った
青葉「ま、諦めな」
マヤ「八ヶ月…。 わ、私には無理…」
幻魔狼「でぇえい!! 呼ばれもせんのに出て来るなあぁ!!」

